やまた幼稚園

BLOG

2018/02/02

心のままに表現される遊びの中に

2018年2月の園だよりをお伝えします。

発表会間近、初めての都筑公会堂での発表

今月下旬から来月初旬に、子どもたちの発表会が行われます。発表会では、普段の保育で楽しんでいることや興味を持っていることをご披露します。子どもたちからも、どんな話なのか、何の役をするのか、という話が聞かれるようになりました。発表会までの取り組みを通して、子どもたちが主体的に、自発的に楽しむことにより、人間的な豊かな内面を形成することに繋げたいと願っています。年中長児は初の試みとして都筑公会堂での発表となりますが、新しい環境においても子どもが自分なりに感じたことや考えたことを表現してくれるのを、今から楽しみにしています。保護者の皆様には、衣装の作成や準備などのご協力をよろしくお願いいたします。

心のままに表現される遊びの中に

日本の芸術教育は、明治、大正以来ずっと技術至上主義であり、子どもの表現を芸術文化の枠だけで捉えようとする風潮が続いています。教育現場で行われる基本的な指導は、身体表現活動においてはごっこ遊び、劇遊び、リズムダンスなどの題材を与え、パフォーマンスすることを目標に活動が展開されることが多いようです。しかし現在、幼児の表現活動というものは、音楽、美術、演劇などという芸術ジャンルから考えるのではなく、日常生活の様々な時と場所において見出すことのできる活動として捉え直すことを求められています。遊びの世界に生きている幼児の、その時の心のままに表現される遊びの中に、何ものかを見出していく、ということです。

保育者自身の想像力、技術を高める

当園では4年ほど前から、保育者の想像力を豊かにし、ものの見方を広げ、表現の様々な技術を身に付けることを目的とした職員研修を行っています。リトミック研究センター神奈川第一支局長石井保江先生のリトミックと、今年度始まった元劇団四季加藤佳美先生によるダンス指導です。日々の保育を行う保育者自身が、自分なりに表現する楽しさを味わい、物事に対する興味を増すようになれば、自ずと子どもたちの活動にも還元され、子どもの豊かな表現に繋がるだろうと考えたからであり、子どもが表現したいと願っているものを、保育者が十分に引き出せていないという問題意識があったことも確かです。

実際の保育においては、保育者のピアノに合わせた表現遊びやリズム遊び、ふれあい遊びを楽しむ程度の活動に過ぎませんが、以前と比較して明らかに変化が見られることが幾つか挙げられます。例えば、子どもたちの話を聞く姿勢が変わってきた、ピアノの音に合わせて身体を動かす習慣がつき、音を楽しもうとする環境が整ってきた、などです。子どもたちに協調性が育ち、友達と一緒に何かを行うことの楽しさがわかり、コミュニケーションしようとする力が伸びたように感じます。

遊びを通した子どもの人間形成

表現とは、表す側と受け取る側の間で行われる心のキャッチボールです。劇遊びなどの身体表現活動においては、表現する器としての自らの身体に気づいた子どもたちが発するものを、大人が受け止め、相手に返すというキャッチボールを繰り返すことで、中身が豊かになっていきます。そしてその自己発揮により主体性が育ち、豊かな人間関係が作られ、身の回りのものに対する興味が湧いてくると言われます。

私たち大人には、表現活動を「遊びを通した子どもの人間形成の手段」として捉える新たな視点が重要になります。単に巧拙だけに囚われることなく、子どもの中にある力を、表現により存分に引き出していくという意識を持ち、同時に、子どもの表現に何かを感じ取り、感情の揺らぎを覚える感性と、それを理解する知性を磨き上げていく必要性があります。大人と子どもが刺激し合いながら共に歩む、終わりのない自己研鑽の道と言えるのではないかと思います。

<編集後記>人形劇団ひとみ座の観劇から

 毎年、この時期は『人形劇団ひとみ座』をお招きして、園児向けに観劇会を行っています。もう40年のお付き合いになるとか。いつ観ても、さすがプロフェッショナルと唸りたくなるような舞台です。大道具小道具、音響、セリフの間合いや人形の扱いなど、何から何まで芸術として完成しており、大人も子どもも本当に引き込まれます。ストーリー展開に合わせて、笑ったり、ツッコミを入れたりする子どもたちの反応もまた、楽しいものです。

緊張の場面では、会場全体が息を飲んでシーンと静まり返り、中には泣き出してしまう子もいます。物語の中身を我が事として受け止め、素直に反応し、消化している子どもの姿です。そして、上演後の年長児だけのスペシャルタイムでは、子どもの率直な発言や質問に対し、的確に、ユーモアを交えて応えてくれる劇団員の皆さんがいます。これこそ、子どもと大人が互いに刺激を受け合い、表現し合う、表現活動の理想の姿だと思います。また、これをラーニング・ストーリーの観点から見ると、子どもがモノやコトに興味を持ち、自分なりの表現でその場に参加している場面であり、このような経験を繰り返しながら大人の社会に徐々に参加していくことが、子どもの育ちなのである、と言うことができます。多様な経験と多くの人々との出会いが、子どもの健全な成長を促していくのがわかります。

 嬉しいのは、ひとみ座の皆さんが毎年、「やまた幼稚園の子は、本当に上手に物語の世界に入り込んで、活き活きと反応してくれます」と褒めてくださることです。ダンスの加藤先生も、「打てば響く感性を持った子どもたちですね、日頃から子どもの意見を尊重し、引き出す努力をしている成果が出ています」と言ってくださっています。さて、子どもたちの発表会はどのようなものになるでしょうか。ますます楽しみになってきました。

園長 栗原弥生

RELATED INFORMATION