やまた幼稚園

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2017/06/02

「関心の芽」への気づきが園生活を豊かに

2017年6月の園だよりをご紹介します。

バスから降りてきた子が、スカートをまくって靴下を下げて脚を見せながら「いっぱい蚊に刺されたあ」と嘆いています。きっと美味しいから刺されたんだね、と言ったところ、「エェ、うち、そんなに若い?」と。そばにいた別の子は「あ、つくしたの跡がつくねぇ」。また別の子は「5月は蚊が多いもんだねぇ」。子どもの話って、どうしてこんなに面白いのでしょうか。自分の持っている知識を駆使して、懸命に身の回りの世界を理解しようとしていることがよくわかります。子どものこのようなつぶやきに耳を澄ませ、彼らの感じている不思議を共に味わいたいと思います。

この花はどうしてヒメジオンっていうの

先日、ある職員からこんな相談を受けました。「子どもがヒメジオンの花を見て、この花はどうしてヒメジオンっていうの、って聞いてきたんです。私はこの質問にどのような返しをすればよかったのでしょうか」。おそらく皆さんも、返答のしようがないこのような質問をお子さんからお受けになったことがあるでしょう。

皆さんならどのように答えるでしょうか。「どうしてだろうね、図鑑で調べてみようか」「○○ちゃんはどうして○○ちゃんっていう名前なんだろうね」「他にどんな名前だったらいいと思う?」など、答え方はいく通りも考えられます。理想としては、この質問から保育活動を展開させていくことができたら一番です。子どもの興味から活動が生まれることが、主体的に取り組んでいく原動力になるからです。

この相談を受けた時、私は玉川学園の創立者である小原國芳の言葉を思い出しました。保育者に要望することとして書かれたものです。


驚異は学問の始まりです。流れ星、稲妻、雪、台風・・・。天地万有の変化に対して、何の興味ももたず、おどろきもなく、疑うことも出来ず、質問の出ない子どもは、気の毒な子です。
ニュートンがリンゴの落ちるのに大きな驚異を感じたことが万有引力の発見の糸口になったことや、ガリレオが教会の大伽藍の吊りランプの揺れるのをみて、振子時計の原理を発見したことなどを聞くにつけ、質問の応答の重大さを痛感することです。子どもの真剣な質問を、いや、自然科学者への糸口を摘み取ってしまうようなことのないよう注意して欲しいのです。子どもをとり巻く人たちみなが、もっともっと高い教養をもって欲しいのです。決して、子どもの質問をうるさがってはなりませぬ。拒絶してはなりませぬ。むしろ、質問が進んで出るように仕向けて欲しいです。奨励して欲しいです。


どんな内容であっても、子どもの質問を真剣に受け止めて応答しなければならないと小原が言う通り、保育者は子どもの会話やしぐさ、表情から興味や関心の芽をキャッチし、その時期に育てたい力を照らし合わせて日々の園生活を豊かにしていく必要があります。

「関心の芽」への気づきが園生活を豊かに

園生活の中で子どもたちの遊びや暮らしを培う力、それを生み出す力を確かにし、その中で子ども一人ひとりが自信を持って自己を確立し、仲間とともに生きていく力をつけさせることが学びの基礎になるのです。

子ども特有の、植物も動物も擬人化した見方、自他の区別の曖昧さといった思考形態をわきまえ、幼児期には子どもの生活経験と関連付けた教育が大切です。

幼稚園でしばしば見られる「教える」ことに重きを置いた教育には、今、警鐘が鳴らされています。自分では考えないで、ただ受動的に言われたことに従う子どもに育ててはいけません。そういうことを時代は求めていませんし、子ども自身も、もともと求めていないのです。

参考資料:『育ちと学びをつなぐ〜横浜版接続期カリキュラム〜』


<編集後記>教職員の英語学習

今年度の年少児から英語を必修化したことにあわせて、教職員も英語の学習に取り組んでいます。それぞれが自分にあったレベルのNHK英語講座を選び、家庭でラジオを視聴することになったのです。1日15分、テキストはたったの数百円ですが、1年間継続すれば必ず力になっていることを信じて、皆で頑張ろうと思っています。

中一になった娘も、かつての私同様、4月から基礎英語1を聴き始めました。何十年ぶりに再びテキストを手にした時、見た目はあまり変わっていないことが嬉しく、ストリーミングで好きな時に何度でも聴けるということに驚きを覚えました。昔はカセットテープの音声教材が付いていたのがCDに変わり、そして今やインターネットラジオやアプリで聴けるとは。

その昔、月に一度英語の歌を紹介してくれる日は、ドキドキしながらラジオを見つめていたことを思い出します。歌をラジカセで録音するために、耳と指先に全神経を集中させていたのです。ラジオから流れてくる曲を、録音ボタンを押してカセットテープに録っていたなんて、若い方には想像もできないかもしれませんが、それしか方法がなかったのです。

私にビートルズやカーペンターズとの出会いをもたらしてくれたのも、Suzanne Vega という米国人歌手の “Luka” という曲で児童虐待について初めて知ったのも、この番組でした。基礎英語のことを思い出すと、懐かしさと同時に心の痛みを覚えるのは、必ずしもバラ色とは限らない大人の世界を、番組を通して知ることになったからだと、今になって気づくのです。

園長 栗原 弥生

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