あの人が考える教育とは?
02子供は言葉を習う天才だね
栗原学園 谷澤理事長 栗原学園グループ理事長。 ミュージシャン エリック・ジェイコブセンさん 子供向け番組やコンサート実施など教育分野で活躍中。

20年以上に渡り、教育を楽しみながら学ぶエデュテイメント(教育エンターテイメント)の 世界で活躍されているエリック・ジェイコブセンさん。
ミュージシャンという肩書を持ちながらも、教育番組への出演や英語による親子向けコンサートの開催など、 教育の分野で注目を集めています。
今回は、やまた幼稚園でファミリーコンサートを終えたばかりのエリックさんに、
栗原学園 谷澤理事長が外国語を習得するヒケツを探っていきます。

02子供は言葉を習う天才だね

エリック
僕は17歳の時に山梨県の高校へ留学したんだ。
ぶどう農業をしている家族のところへホームステイして、そこでゼロから日本語を習ったよ。
谷澤
その時の経験が、今のエリックさんをある程度かたち作ったということですか?
エリック
留学には2つの意味があったかな。
1つは留学期間の一年が終わって、日本語の会話が一人でもできるようになったんだけど、もっともっと日本語を上手になりたいという気持ちになったんだ。
もう1つは、最初に誰ともしゃべれなかったときに、自分との会話として英語の歌詞を書いて曲を作るようになってね。
まわりにいる人は英語がわからないから、誰にも言えないような気持ちも書けるようになったんだ。
その時に、これが本当の曲の作り方だとわかったこと。
「もっと日本語を習いたい」、「曲を作りたい」という気持ちがあったから、今の自分があるのかな。
谷澤
エリックさんの歌は、Phonics(=フォニックス:英語の綴り字と発音との関係を教える教授法)の要素やrhyme(=ライム:押韻)が取り入れられていますよね。
外国の人が言葉を勉強するときには「マザーグース」や最近だとドクター・スースの絵本などを読むと思うんです。
日本の絵本にもそういう要素がたくさん入っていて、絵本は言葉を覚えるのにとても良い方法だと思っています。
エリック
絵本は良いと思う。
何が書いてあるか言葉でわかる前に絵でわかったら、その後の理解が早いよね。
だから、絵と言葉がマッチングしているのが理想的な絵本だね。
それがテレビでも教材の制作でも同じだと思う。
例えば、英語で「Look at me!」でも、日本語で「見て、見て!」でも、そのアクションを見るだけ、聞くだけで子供たちはすぐにわかるようになる。
子供は言葉を習う天才だからね。
谷澤
日本語でも外国語でも、自分で勉強しようとか楽しんでやりたいという気持ちを起こして、自発的な取り組みを促していくのがとても大切だと思う。
だから、子供の頃はエリックさんが歌っているようなエデュテイメント(=教育エンターテイメント)的な楽しんで学ぶことが良いのかなと思っています。
エリックさんは、今も子供番組に携わることがあるかと思いますが、心がけていることってありますか?
エリック
まずは、子供たちが興味を持つものっていうのを考えるかな。
NHKの教育番組で曲を作るようになった頃は自分の子供も小さかったので、子供の日常に出てくるようなことを考えていたね。
子供が飛行機やヘリコプターが大好きだったから、自分も子供の目になったような気持ちで、「Oh, look up the sky. It’s a helicopter!」というように、ただヘリコプターを見るだけの喜びを感じてもらう。
シンプルに表現することを曲のテーマにしていたよ。
ある文章があって、それを同じ曲でリピートするのも良いし、違う曲で同じ文章をリピートするのも良いね。
初めて知る英語を一方の角度から見たら最初のインプットになるけど、違う角度から同じ英語を見たらより自分のものにできるんだ。
こっちの角度からヘリコプターの話が出てきて、また違う角度からヘリコプターの話がでてきたら、「知ってる言葉だ!」「わかる!」って思うよね。
自分の言葉になったその喜びや、そのモーメント(瞬間)が一番大事。
それがまた、次の喜びにつながっていくからね。
谷澤
リピートっていうことでは、お子さんに絵本を読んであげることがあると思うんですけど、大人って飽きちゃうんです。
同じ話を何度も「読んで!」ってせがまれると疲れるし、それって前にも読んだよねって。
でも、子供からするとこの世界の中でまだわかっていることが少ないんですよ。
だから、わかったということが脳にとってものすごく快感なんです。
さっきエリックさんが言ったヘリコプターも、空に飛んでいるのも絵本に出ているのも、テレビに出ているのも、空港で見るのも同じヘリコプターなんだってわかるのが快感になっている。
同じ絵本も、繰り返し読む・見るっていうのが子供にとってはとてもうれしいんです。
エリック
僕が日本語を勉強していたときも、「この日本語わかる!」というモーメントがあった。
英語で1つのことがちゃんと言える、「I like potatoes!」と心から言えるようになれば、次のステップに行ける。
「I can speak English now.」というのではなくて、一歩一歩自分の「わかった」というモーメントを作れると良いよね。
谷澤
やまた幼稚園でも同じことを繰り返すことで子供をその気にさせていく、モチベーションをどうやって上げていくかを大切にして欲しいと教員にも話しています。
お父さんやお母さんもちょっと大変かもしれないけれど、同じ絵本や歌のCDなんかを「読んで!」「聴きたい!」とせがまれたら理解してあげると良いかなって思いますね。

ミュージシャン エリック・ジェイコブセンさん

アメリカ·ニューヨーク州生まれ。マサチューセッツ州ウィリアムズタウンの豊かな自然の中で育ち、17歳で山梨県に交換留学生として1 年間在籍。その後、コロラド州立大学にて日本語学と日本文学を専攻する。
20年以上にわたりエデュテインメント(= 教育エンターテイメント)の世界を中心にTV 番組、子供英語教材(CD/DVD など)などへ向けて多くの曲を送りだし、作詞作曲活動、TV 番組出演、番組制作、コマーシャル、英語教材開発など多岐にわたる活動をしている。 NHKの教育番組には1998年~2017年まで19年に渡って出演。今も日本各地に出向いて子ども向けコンサートを実施、英語の自然なリズムを生かした曲作り、言葉を巧みにあやつる詩的センスには子どもやお母さん、お父さんを中心に多くのファンをもつ。