やまた幼稚園

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2017/09/21

レッジョ・アプローチ3本柱(その2)

2016年11月の園だよりをお伝えします。

子どもと大人が「考えることと行動することの道すじ」を学ぶ

10月の園だよりでは、レッジョ・アプローチの3本柱の中から、共同性についてご説明しました。今月は残りの2つについてお伝えするところから始めます。2つめのプロジェクトとは、子どもが興味・関心を持っていることを教師がキャッチし、子どもと教職員、保護者、地域との対話から繰り広げられていく様々な表現や探究活動のことです。

前もって決められた活動ではないので、どれくらいの期間、どういう方向に向かって、どんなことをするか、何も決まってはいませんが、これは子ども任せということではなく、子どもと大人が「考えることと行動することの道すじ」を学ぶためのものです。

まずは話し合い(探索)、表現し、さらなる探索から表現へ、と繰り返されていきます。表現の手段として絵画、CG、映像、音、ダンス、劇、モビール、粘土やパン生地など、あらゆるものが使われています。プロジェクトは通常、5人くらいのグループで、数日から数ヶ月に亘ってテーマに沿って活動をしており、クラスの中でいくつものテーマが並行して進んでいきます。ですから、様々な探究が展開されていることを知り、分かち合う手段となるのが、次のドキュメンテーションとなるのです。

今を生きる子どもの学びと育ちを「見える化」する手法

3つめのドキュメンテーションとは、一つのプロジェクトが完成に至るまでに子どもたちが歩んだ過程を記録するもので、子どもの多様な姿をあらわすために録音、ビデオ、スケッチやメモなどの媒介が用いられます。活動の表面にとらわれるのではなく、その奥にどんな意味があるかを教師が考えて記録し、下記のような内容で話しあった記録がパネルなどになって掲示されます。

    1. 「その子が何をしているのか」
    2. 「何を理解しているか」
    3. 「何に悩んでいるか」

親は子どもがどんなことをしているかがわかり、子どもにとっては、記録を何度も見ることで、どこまで目的を達成したか、何が足りないかなどの現状がわかると同時に、自分のやっていることが意味のあることだと理解するようになります。

これは、個人の記録、共同制作の記録であり、学びの軌跡であるということで、世界各国で実践されています。ドキュメンテーションは今を生きる子どもの学びと育ちを「見える化」する手法であり、育ちを評価する軸として「一人一人がどんな過程で何を得たか」を重視する捉え方と言えます。やまた幼稚園でも今年度ポートフォリオを導入しましたので、子どもを見る目を養っていきたいと思っています。

レッジョ・アプローチの課題

レッジョ・エミリア市の教育を可能にしている要因として、行政の支援、市民の理解、文化的背景があるでしょう。市の教育担当者は「レッジョ・エミリア市であるからこその実践であり、単なる模倣は無意味です」と明言しています。やはり教育は、国の歴史、経済、文化とは切っても切り離せないものなのです。

各国で絶賛されているレッジョ・アプローチであっても、幾つかの課題は残されています。「幼児学校を卒業した子どもは、どう育つのか?」「子どもの創造性と想像性は、学童期においても保障されるのか?」という問いが、世界中の教育機関や保護者から寄せられています。彼らの答えはこうです。

「小学校以降の準備のために実践しているわけではない」と。実際、同国の乳幼児教育と小学校の運営には相違があり、大きなギャップがありますが、今、少しずつその差を埋める挑戦が始まっているとのことです。

「子どもの学びを捉える目」を育てる

セミナーに参加して思ったのは、レッジョ・アプローチの根本を理解した上で、それぞれの現場の歴史や文化の独自性を生かした実践をすることが大事だ、ということです。

「子どもをめぐる政策が、子どもをめぐる政策だけにとどまることは決してなく、人々の現在の生活の質、未来の生活の質、そして未来の可能性と密接に関わるものである」

とレッジョ・エミリア市の教育主事が言う通り、教育は未来への投資です。やまた幼稚園においては、自由保育やポートフォリオを実践していく中で「子どもの学びを捉える目」を育て、その学びを保護者と共有し、家庭の協力を得ながら幼児期の教育の重要性をさらに広く訴えていきます。

 

園長 栗原弥生

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