やまた幼稚園

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園だより

2018/12/05

世界情勢の行く末を憂う

2017年3月の園だよりをお伝えします。

幼稚園生活における3学期は、1年を5期に分けた最後の期にあたり、友達関係を深めて協力しながら一つのことを楽しむのが大きな目標になります。先月末に実施した「PLAY DAY」では、子ども自らが選択した活動に主体的にもくもくと、あるいはキャーキャー喜び合いながら打ち込む姿があり、それぞれの年齢毎に4月からの大きな成長を感じました。「PLAY DAY」のコーナー毎の報告につきましては、ブログ記事をご覧ください。

もうすぐ桃の節句がやってきます。この時期、園内には子ども達の大好きな「うれしいひなまつり」のピアノの音が響いています。幼児は一般に音楽にかかわる活動が好きで、友達と共に歌ったり、簡単な楽器を演奏したりすることで、音楽の世界を豊かに広げていきます。このような活動を通して、子ども達は想像を巡らし、感じたことを表現し合い、表現を工夫して作り上げる楽しさを味わうことができるようになるのです。

ところで、皆さんは「うれしいひなまつり」の歌詞が間違っているというエピソードをお聞きになったことはありますか。作詞者のサトウハチローさん曰く、「間違った歌詞がこんなに有名になってしまい、恥ずかしくて穴があったら入りたい」とのことですが、どこが違うのか、答えは2番と3番の歌詞にあります。

2番 お内裏様と おひな様

        二人ならんで すまし顔

3番 少し白酒 めされたか

        赤いお顔の 右大臣

まず「お内裏様とおひな様」が間違いで、お内裏様とは、天皇皇后の姿に似せた男女一対の雛人形のこと、おひな様とは、内裏雛、三人官女、五人囃子、仕丁などが一組になっているお人形のことを言い、そして、「赤いお顔」の方は近衛兵なのだそうです。

そんな逸話がありつつも、この歌は日本人に愛されてきました。私の幼い頃、ひな飾りの一番下の段にこの曲を奏でるオルゴールが置いてあり、飽きずに繰り返しネジを巻いてその曲を楽しんだ記憶があります。今、この歌は息子の愛唱歌となり、そのオルゴールは変わらぬ音色で私を慰めてくれるのです。

さて今回は、リヒター著『あのころはフリードリヒがいた』という児童書をご紹介いたします。ヒトラー政権下のドイツ。人々は次第に反ユダヤの嵐にまきこまれてゆく——その時代に生き、そして命をおとしたひとりのユダヤ人少年フリードリヒの悲劇の日々を、ドイツ人少年の目から克明に描いた話題作(裏表紙より)。短編集の幾つかは中学の国語の教科書等にも掲載されたとのことで、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

「あなたが考えられるようなことは、起こりえませんよ、この二十世紀の世の中では、起こりえません!」そう信じたフリードリヒの父親でしたが、実際にその恐ろしいことは起きたのです。そしてまた今日、国境に壁を作るだの、政権争いによる暗殺だの、解決の糸口の見えない内紛や難民問題など、見るのも聞くのも嫌になるようなことがたくさんあり、世の中が和平とは反対の方向に突き進んで行くように感じられます。そのような状況と照らし合わせてこの物語を読んだ時に、私たちの誰が当時のドイツ人を責めることができるのだろうか、そして今再び他者を排斥しようとする動きにストップをかけられるのだろうかと、非常な胸苦しさを覚えます。どこにでもいるような善良な一般市民が、知らないうちに、意図せずとも、加害者になってしまうことの恐怖、それが決して過去のことではなく、今にそのまま当てはまることなのだと気付いた時、この話の伝えてくれるものが本当に生きてくるのだと思います。大人にこそ読み応えのある書物です。

園長 栗原弥生

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