やまた幼稚園

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園だより

2018/12/05

これからの時代に求められる力

2016年7月の園だよりをお伝えします。

先月、横浜市歴史博物館において実施した幼稚園説明会には、150人以上の方にお集まりいただきました。開国以後の日本の歴史に始まり、今後の幼稚園教育に求められるものと当園での取り組みについてご案内いたしました。2020年には大学の入試改革も行われますが、その流れは幼児教育にも大きな影響を及ぼすことが予想されます。

幼稚園協会主催の「次期学習指導要領改訂へ向けた検討の進捗状況について」という研修に参加してきました。そこでは、小学校以降の学びを充実させていくために、幼稚園、小学校、中学校といった各学校段階の接続をよりスムーズにする必要性や、幼児教育において育成すべき資質・能力について、文科省から出ている資料をもとに説明がありました。将来の幼稚園教育要領、学習指導要領の中で求められるのは、ペーパーテストで測れる知識ではなく、忍耐力、やる気、自信、協調性といった非認知的能力です。また現在、幼稚園での教育の成果を測る指標が作られている最中であり、その指標の中身としては、「座って話が聞ける」とか「指示されたことができる」というような項目は一切入っていないのだそうです。いわゆる「良い子」で居させる保育は時代の要請には合わないということがはっきり打ち出されたわけです。そして、幼稚園教育の基本となる遊びを通しての総合的な指導が、日々の保育の中でどれだけ実現できているか、今一度振り返って欲しいということと、遊びに没頭する中で試行錯誤しながら思考力を芽生えさせることが、小学校のすべての教科において学びにつながるのだという話がありました。

これからの時代に求められるキー・コンピテンシー(主要能力)は、「多様な人々とも協同して物事に取り組める力」や「自律的に活動する力」、そしてそれの核となる「深く考える力」といった21世紀型能力です。現行の小学校学習指導要領におけるキーワード「生きる力」の基礎となるのも、やはり幼児期の遊びから培われるものです。幼稚園生活において、子どもが自らの意思で、主体的に、色々なことに取り組んだり、繰り返し試みたりする経験を通して、子どもの身体機能、言語能力、社会性、意欲といったものが育つからです。遊び自体には目的がないように見えても、そこには幼児期に育てたい多くの内容が含まれています。遊びの中で、心が動く経験をたくさん積み重ねることで、小学校以降の学びの基礎が出来上がっていきます。

昨年の夏に視察をしたフィンランドでは、30年ほど前から地道な教育改革が行われ、現在ではOECDが実施するPISA学力調査で常に上位を維持する教育立国としての地位を獲得しています。そのフィンランドにおいて新たな学習指導要領の柱となっているのが、科目横断的な授業や共同作業といったものです。やまた幼稚園での教育と重なる部分が多い気がします。生活の中で、自分の持っている知識や能力を生かし、他の友達と協力して一つのことを行っていくこと、これはやまた幼稚園が伝統的に行ってきた保育内容そのものと言えるでしょう。

私たちが考える質の高い遊びとは、子どもが活動的に主体的に没頭できる遊びです。何かに没頭している時というのは人間の脳にとっては最も重要な時間であり、発達に必要な経験を得ている状況であることが理論的に解明されるようになりました。やまた幼稚園では近い将来、子どもの没頭状況を科学的に分析する調査に参加することも検討しています。科学的な手法を用いて子どもたちの育ちを支援しつつ、将来の日本をより良い国にするための貢献ができれば、幼児教育に携わる者としてこれ以上の喜びはないと言えます。

園長 栗原弥生

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