やまた幼稚園

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2017/09/21

レッジョ・アプローチ3本柱

2016年10月の園だよりをお伝えします。

レッジョ・エミリア・アプローチ

4月17日から22日まで、レッジョ・エミリア市で開催されたInternational Study Group にAtouii Miyajimaと参加してきました。レッジョ・エミリア・アプローチは、アートを中心に据え、子どもの学ぶ権利を実現する創造性あふれる教育実践として、1991年に「世界で最も優れた教育」と『ニューズウィーク』誌で絶賛され、以来世界的に注目を浴びるようになりました。

レッジョ・エミリア市公立学校の始まり

レッジョ・エミリアは、イタリア、エミリア=ロマーニャ州にある人口16万人の小都市です。この地方の人々は伝統的に独立心旺盛で行動的、社会的弱者や子供達に対する強い連帯意識があります。第二次世界大戦中、ファシスト政権に対するレジスタンス運動の本拠地だっただけあって、協同組合運動や女性運動などの社会運動が起こっており、こういった精神が乳幼児教育の発展に大きな影響を与えていると言われています。

地域一帯は戦争で壊滅的な被害を受けましたが、戦後「街の復興は子どもの教育から」と力を尽くし、ナチスが残した戦車、トラック、鉄くずや馬を売り払って、それを資金にして女性たちが幼児学校の建設を始めたのが、レッジョの公立学校の始まりです。建物の修復や再建という物質的なものだけでなく、市民一人一人の幸せと良い生活の実現が真の復興であるという考えのもと、共同体の中心に乳幼児教育が位置付けられています。

従来の関係性をはるかに超えた捉え方

レッジョの乳幼児教育が確立されていく過程において、中心となった人物が Loris Malaguzzi という人物です。彼は、それまでの教育理論を学びつつも、独自の教育方法を紡ぎ出し、公教育のあり方に大きな影響を与えてきました。

「子どもとは、その可能性において豊かであり、有能で、力強く、力に溢れ、大人や他の子どもたちとの結びつきの中で生きる存在である。」

と表現した彼の言葉は、子どもは未熟で無知で弱いという従来像、大人が教え、子どもが教わるという関係性をはるかに超えた捉え方として、今でも世界中から注目を集めています。そして現在では、21校の幼児学校に市の93%の幼児が登録(イタリア全国平均27%、全ユーロ平均33%)するまでになっています。

「共同性」「プロジェクト」「ドキュメンテーション」

1つ目の共同性とは、子どもが共同で活動をするのみならず、親や市民、芸術家や教育専門家が協力しながら子どもの育ちを見守り支えることです。専門家を交えて、夜に始まった保護者会が、深夜まで続くことも稀ではないと聞きますし、親の勉強会も月に1回のペースで定期的に行われるようです。

共同性を重要視する背景には、子どもは大人や他の子どもたちとの結びつきやかかわり合いの中で発達するという見方があります。子どもの豊かな可能性は、子ども一人では実現し得ないものです。自分より少し高い技能を持つ者の援助があるときに、子どもは一歩先の課題を達成することができ(「発達の最近接領域」)、また大人からどのような見方をされ、どのような期待を抱かれているかによって、子どもの持つ可能性は広くも狭くもなります。

Malaguzzi は、子どもの表現手段を「100の言葉」という比喩で表していますが、それだけ多様な可能性があることを教師は子どもに保証しているのです。

来月は、プロジェクトとドキュメンテーション、レッジョの教育を可能にしている要因や、レッジョが現在抱えている課題についてご紹介したいと思います。

園長 栗原弥生

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