やまた幼稚園

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2017/09/15

フィンランド視察記

2015年10月の園だよりからお伝えします。

気がつけばもう10月、スポーツに読書、そしておいしい食べ物が楽しめる季節ですね。今週末は待ちに待った運動会もあります。普段幼稚園でどんなことを楽しんでいるか、遊びの中でどんなことができるようになったか、皆様にご覧いただきたいと思います。どうぞ楽しみになさってください。

さてこの夏休み、私、西山とAtouiiでフィンランドの保育園(幼稚園というものはない)と小・中学校を視察して参りました。フィンランドというと、どのようなイメージをお持ちでしょうか。

オーロラ、ムーミン、学力世界一、高福祉、生涯学習・・・いろいろなことが浮かぶと思います。 フライト約10H 、日本から一番近いヨーロッパで、ロシアを挟んで隣の隣にあります。シャイで礼儀正しく、時間を守るなどの国民性から「青い目の日本人」と言われることもあるのだとか。

私たちが訪れた8月下旬は、夏の名残と秋の訪れの両方が感じられ、20時過ぎまで夜は明るく、でも朝晩は薄手のコートが欲しい、そんな時期でした。2ヶ月半にもわたる夏休みが明けて、新しい年度がスタートしたばかりの慌ただしい中、来訪者を迎え入れてくれる学校関係者と子ども達のおおらかさが伝わってきました。

メディアとの向き合い方

驚いたのはメディア教育への力の入れようです。もはやメディアから離れて生活することは不可能、それならば、どうしたら安全に必要な情報を得られるか、と非常に現実的な視点にたって幼児期から教育をしています。

例えば5歳児であれば、雑誌の記事を切り抜いて、必要な情報をコラージュするという活動が挙げられます。小学生になると iPad や Facebook を使った学習も盛んに行われます。

「自分に必要なことだから学ぶ」フィンランドの教育

また「人間はもともと興味関心を持っていて、自ら学んでいくもの」との信念があるので、教師は嫌がる子には何も強制しません。授業中にソファーで休む、歩き回る、友達と相談しあうのは当たり前、一人で廊下で勉強している子もおり、個別指導も行われています。基本的に個人を尊重し、自らの結果については自らが責任を負うけれども、社会保障でカバーされる部分も多い、という印象です。

OECDが実施するPISA学力調査で常に上位を維持し、各国から注目されるフィンランドですが、30年前はこれほど学力が高くありませんでした。資源のない国だからこそ、人材教育に力を入れて国を隆盛させなければならない、として地道に取り組んできた結果が、現在のPISAの結果に現れていると言えるでしょう。

フィンランドでは、生まれてから死に至るまでの一連の流れの中での、幼児教育を含めた学校教育の位置付けを子どもに自覚させ、現段階で何を学ぶか、将来自立して生活するためにどんなことを身につけたら良いか、という視座を持たせています。

自分らしく生きるために、他との競争ではなく、自分に必要なことだから学ぶのです。学校教育の延長に生涯学習があるのではなく、生涯学習の最初の段階として、学校教育があると位置付けて、仕事を持ちながら学んだり、子育てをしながら学校に通ったり、というのもごく普通の光景なのだと聞きました。

フィンランド視察から見えた課題

同国では来年度からまた新たな学習指導要領が施行され、更なる先を見据えた教育が始まります。教育改革のメインは、

    1. 科目横断的な授業を取り入れ、あらゆる状況で自分のスキルや知識を活かせるようにすること
    2. 生徒自身がともに授業を計画していくこと(これには賛否両論ある)
    3. 共同作業に重点を置くこと

の3点です。3点目については、個人主義が徹底しているフィンランドにおいても、他者と協力して一つのことを行い、協調性や忍耐力を身につけること(これは日本が伝統的に得意とするものですが)も大切だと捉えられるようになった結果なのだそうです。
柱になるのは、肯定的な感情を生み出す経験や他者との交流創作的な活動を向上させる学習とのことでした。

現状に甘んじず、常に一歩先を見据えて未来を創っていく姿勢は、私たち日本人が見習うべきところかもしれません。
日本では、詰め込みが良くないと指摘されればゆとり教育に変更し、その結果学力が低下したからまた指導内容を増やす、というように、その場しのぎで問題を解決しているようにも思えます。

今の幼児・児童が大人になる時にどんなスキルが必要になるか、他国と比較して自己肯定感が低い日本の子ども達にどうやって肯定的な感情を身につけさせることができるか、そこを考えて教育をしていく必要性を痛切に感じた今回の視察旅行でした。

園長 栗原弥生

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